2日目の最初は、「福島県下郷町の大内宿」で(観光を活用した地域おこしによる交流人口拡大と後継者の確保について)下郷町議会議長はじめ地元区長さんや役員、町職員や宿場案内人などから、資料館内の囲炉裏を囲んでの説明を受けました。昨晩30cmほど積もった雪景色が、古い情緒ある宿場街を一層引き立てていました。ちなみに、私は昨年夏に大内宿を見学しましたが、夏と冬では趣が違い感動すら覚えました。大内宿は、江戸時代における会津西街道(別名:下野街道)にあり半農半宿の宿場町です。当時の面影が、そのまま保存されてきた理由は昭和42年当時学生だった武蔵野美術大学・相沢教授が、江戸時代より残る茅葺の建築物を、後世に残すべきと強く村に働きかけたことです。村人の意見は二分したそうですが、熱心な説得と当時の大塚実町長が共鳴して、昭和56年4月に「重要伝統的建築物群保存地区」に認定されたものです。保存のための条例が制定され、大内宿保存会が設立されるなど、住民による街並み保存活動が始まり、大内宿を守る住民憲章も制定されたとのこと。

大内宿の概要は、世帯数47世帯・空き家2軒・夜間無住世帯4世帯・人口146名(男65名、女81名)・うち子供世帯11世帯23名・65歳以上の老人のみの世帯4世帯で、昭和29年には425名が在住していたそうです。
 産業では、民宿2軒・飲食店15軒・おみやげ店26軒・営業なし4軒で、営業は4月から11月まで(冬期間は入込客が8割程度となるので、一部しか営業していないとのこと。)となります。専業農家1軒で、他は兼業農家で「蕎麦」や「えごま」栽培で、主に来客者に提供するための生産となります。景観上から耕作放棄地解消のため、補助金を利用しながら「蕎麦」「景観作物」「畦畔の草刈り」「農道の草刈り」など里山景観保全を行っているとのこと。年間の入込客数では、昭和60年24千人が平成21年1,159千人(これまで最高)となり、平成28年時には815千人とほぼ安定してきたとのこと。ただし、東日本大震災の平成23年は585千人まで落ち込んだそうです。
 観光を活用した地域おこしによる交流人口拡大には、年間通して集約行事の復活や神社の祭礼行事のほか、これまでなかった6月の行事に「第二日曜日の茶会」を加え、冬期間の集客増の為、雪まつり(2日間)や歳の神行事なども行うようになったとのことでした。駐車場の確保の為、町有地を賃貸契約し地元管理で、普通車500台・大型バス15台程度の収容規模を、スタッフ10名・警備会社の派遣などで運営しています。年間に利用は、普通車約15万台・マイクロバス1,700台・大型バス5千台で年間65百万円の収入があります。茅葺屋根の保存も重要で、30余りの民家の茅葺屋根の葺き替えは、職人の高齢化や後継者不足から地域で技術習得、継承(現在10名ほど育っている。)に取り組んでいます。平成10年には、地区の青年達が中心となり「大内宿結いの会」を結成し、共同扶助制度の活用と茅葺技術を地域で守り継いでいるそうです。
 萱刈作業も地区全体の事業として2~3日間実施していますが、高齢化のため、地域外からの支援も受けていてそうです。屋根の葺き替え期間は、10年から15年程度で行われるそうです。防火対策も大切な事で、各家庭には平成3年から5年にかけて火災報知器や屋内消火栓が設置されました。屋外には消火栓や放水銃、屋根上には落雷防止用の施設も設置されていて、消防団・婦人消防隊の他に、消防団OB組織「火消し組」で日中の人手不足対策を行っているそうです。

 なお、下郷町では誘客のための諸事業を行っていて、その一つに「100万年自然ウォーク」のための「ウォークコースづくり」をはじめ、「着地型ツーリズム推進事業」などで、インバウンドの誘客拡大を図っていて、諸外国から認知されるような状況とのことでした。
 ただし、地元区長さんの話では、今後とも入込客数は現状の80万人程度が限界で、これ以上の増加は不要とのことでした。
視察中、東南アジアからのツアー客が大型バス2台でやってきました。雪の知らない人達にとっては、大変な魅力と感動の一時だろう、と想像しながら視察を終わりました。
 

最後の訪問地は、東蒲原郡阿賀町の「道の駅・阿賀の里」で(移動スーパーの運航による中山間地域の高齢視野への生活支援について)阿賀町・波田野正博副町長、同町総務課職員、株式会社阿賀の里・林真一郎総支配人、阿賀町集落支援員4名の女性から説明を受けました。福島県から磐越道で阿賀町に向かう際、県境付近から本格的な雪が降り始めて「道の駅・阿賀の札」には、約40分も遅れての到着となりました。
移動スーパーの運行では、過去十数年にわたり「道の駅・阿賀の里」が中山間地集落を巡回する移動販売車(2台)で行ってきましたが、赤字や人員確保が出来ず運行を停止していたそうです。しかし、阿賀町の商店も過疎化により店舗数が半減。住民から買い物支援の要望が高まり、会社では阿賀町から「利益追求型よりも地域貢献を主たる目的。」に支援を得られることになり、平成29年5月より、新たに「阿賀の里移動スーパー」が再スタート。これを阿賀町で採用した、20代から30代の子育て世代の女性4名で、軽トラックを改装した車に住民の注文の商品(刺身や惣菜の他、生鮮品、お菓子等100品以上。)を、毎週火曜日から金曜日の4日間、町内の25地区に巡回して運んでいるとのことでした。その際、支援員は買い物支援だけでなく、高齢者等への声掛けや町との地域情報を共有し、更に小学校の登下校の見守りや集落の問題(救急・健康・道路等)対応も随時行っています。また、集落のイベントや祭りなどへ積極的に参加し交流を深めているそうです。これらをフェイスブックなどで紹介し、若年層の参加を高める発信にも力を入れています。なお、「阿賀町集落支援員」は総務省の「集落支援員制度」を利用し、平成27年4月1日より開始しているそうです。ちなみに、この制度では自治体に対し支援員一人当たり350万円(兼任の場合は40万円)を上限に、特別交付税で財政支援されます。

 阿賀町の取組について、新聞などで報道され反響を呼んでいるそうです。県内でも同様の地域が沢山あり、支援の輪が広がれば、との思いで2日間の視察を終えました。

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